Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

立岩真也・村上慎司・橋口昌治『税を直す』を読んで

 

税を直す

税を直す

 

 この間来年4月に予定されている消費税率引き上げやパナマ文書(タックス・ヘイブン)についてのニュースをよく見かけますね。今回は税制を考えるにあたって必読の1冊を紹介します。以下重要と思われる箇所を引用します。

・この国の政府にはお金がないと言われる。しかし、税金を上げる前に、無駄使いを減らそうといういうことになる…ただ冷静に考えるなら、それで節約できるのはたかがしれている...そこで、仕方ない、消費税を上げるしかないということになる…けれどもそれよりすべきこと、できることがある。つまり、課税の累進性、つまりたくさん持っている人がたくさん税を出す仕組みをきちんとさせればよい…さしあたり課税の仕方をもとに戻すだけでもかなりのことができる。だからそうすればよいと思う。(p.16)

・消費を増やすべきだという主張を受け入れるとしよう。ならば、今困っていて、すぐ使ってもらえる人に直接渡すのが最も効果的である。公共的な仕事、福祉・医療の仕事に就く人を雇う、収入を多くすることを含む労働政策、一時的失業者を含む所得保障にまわすのが最も効果的である。(p.20)

・市場において多くを得てしまったところからそうでないところに財を金を移転することが移転することが税の大きな目的であり意義であり、それをしかるべく行なうべきである。そのことによって、必要だが足りないとされてしまっているものを得ることができる。具体的にどうするか...一つに、税の累進性を強めることである…むろんそれは、個人の…税の累進性だけを指すのでなく、資産・遺産を含めてのことである。また、様々に存在し指摘される不合理を正すことによって得られるものも大きいはずである…様々に複雑な控除等も整理すべきはした方がよい。消費の場面での徴税も、うまく機能させることができるなら、否定するものでもない...それらとともに、所得税については累進性をいくらかもとに戻すぐらいのことはできるし、した方がよい。それは効果的で現実的な案である...所得税の税率を戻すだけで年に数兆円にはなる...基本的に得たものは所得保障と福祉・医療といった社会サービスのために使う。前者は当然直接人に渡る。後者のほとんどもその仕事に就く人が得る。それで今起こっている問題のかなりの部分について、だいたいのかたがつくと考える。すぐに具体的にできるしすればよいのはこのことである。(p.40-41)

・実際にも、極端なことを行っているのは、人口の少ない、その意味で小さい国々である…税率を低くすることによって、世界からいくらかがやってくることがあるかもしれない。そしてその人や組織は(低くされた税率で)税を払う。しかし残りの人や組織の税率も同じく低くされる。両方の結果、やはり税収が減ることがあるだろう。このように一定規模以上の組織にとって、低くすることの利益は大きくないように思われる。むしろ損失を出してしまうことになりそうだ…他方、人口の少ない国にとってはそうではない。利益が得られることがある。また貧しい国の場合も利益が得られる可能性がある。高所得者に高い税を課す制度にしても、その税率で払う人たちはほとんどいないかもしれない。ならば低めにして、その結果金や人の流入があるなら、その方が都合がよい。実際、タックス・ヘイブン と称される国々は小さな国々である…そこから利益を得ているのは、安くすますことができている人であったり組織であったりする...(p.164-165)

タックスヘイブンを法律的に世界地図から抹消するのは、形式的には簡単なことである。つまり、大きな金融市場をもつ国家…が、その国内法のなかに、タックス・ヘイブンの地域に関わるいっさいの商取引は違法である、と書き込めば「充分」なのだ。そうすれば、ある程度の不正行為は周辺部分で生き延びるかもしれないが、タックスヘイブンで堂々と行われる活動は縮小するだろう。そして、当然のことながら、投資や金融の回路、つまりあらゆるグローバルな経済活動は、縮小を余儀なくされるだろう。しかし、これこそが、関係諸国がこの道にけっして踏み込もうとしない理由なのである。(p.174)

法人税をなくすと、ことがより大規模に、そして合法的に行なわれることになる。他方に所得税相続税はあるから、個人の所得として利益を受け取らず、その利益を法人の方に留め置くことになる。個人であれば、相続の場合に相続税を払うことになるが、法人に寿命はないから、個人のように相続税を徴収するといったことがなされない。財産が法人所有というかたちのもとで、保有され続け、それに課税されることがない。すると、今でも行なわれているが、ますます法人のもとに利益が置かれる…それは継承され、それを実質的に利用できる個人によって利用される...税がなければあるい軽ければ、法人名義の所有が選ばれることになる。このことを考えても、法人の税と個人の税とは基本的に同じがよい。すると、個人に課せられる税が累進的であれば、法人に課せられる税も累進的であってよいことになる。(p.203)