Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

今野浩『ヒラノ教授の論文必勝法――教科書が教えてくれない裏事情』を読んで

 

 論文を書く人のための参考書。以下に重要と思われる箇所を引用します。

工学部の教え7ヶ条

第1条 決められた時間に遅れないこと(納期を守ること)

第2条 一流の専門家になって、仲間たちの信頼を勝ち取るべく努力すること

第3条 専門以外のことには、軽々に口出ししないこと

第4条 仲間から頼まれたことは、(特別な理由がない限り)断らないこと

第5条 他人の話は最後まで聞くこと

第6条 学生や仲間をけなさないこと

第7条 拙速を旨とすべきこと(p.9)

 

・…論文書きの心得…

一つ。“アイディアを思いついたとき、論文に書く前にそれを偉い研究者に話さないこと”

一つ。“何らかの成果を導いたら、ただちにメモを作って大勢の研究者が集まる会合で配布し、研究成果の優先権を確保すること”

一つ。“一つの論文にあまり多くのことを書かないこと”

一つ。“論文は可能な限りすみやかに然るべきジャーナルに投稿すること”

一つ。“たとえつまらないと思われる結果でも、論文の形にまとめて投稿すること”

一つ。“論文を書き続けること”

一つ。“論文を書けないときでも、研究集会に参加して何か発表すること”…(p.60-61)

・…国際競争から脱落しないためには、時間に余裕がある学生・助教時代に、自分の研究スタイルを確立しておくことが大事である。(p.73)

・…生産性の秘訣…その秘訣は、年齢を重ねるにしたがって研究領域を拡大したことである…発展中の新分野には…大きな宝石が転がっているから、少ない努力で大きな収益が得られる。しかし新分野の論文は、なかなか既存のジャーナルには掲載してもらえない。そこで、仲間と協力して新しいジャーナルを創刊してその編集長に就任し、論文発表の場を確保すると同時に、最新の研究成果にアクセスする機会を増やし、いち早く有望なアイディアを手に入れた…学生や同僚の力を借りることにした…毎週適切な指示を与えながら、予想通りの結果が得られたら…一週間で論文を書くのである…博士課程の学生が一〇人いれば年に五編以上の論文ができあがる。同僚を巻き込めば、さらに生産性が上がる…これらの論文は学生との共著論文として出版される…大学院生にとって、有力教授と連名の論文を書くことは、プラスにはなってもマイナスになることはない。(p.74-76)

・一つ。“同時に二つの研究テーマを追求するよう心掛けること”…両方を行き来することによって、煮詰まりの可能性を減らすことができる。(p.108-109)

・指導教員の役割は、

  • 学生が見つけてきた問題が、それまでに解かれていないことを確認すること
  • それが解けそうかどうかを見極めること
  • 解けそうであれば、適切なアプローチをアドバイスすること

 

である。(p.113)

≪研究者向きの資質≫

 ・毎年大量のオーバードクターが発生しているという事実を知ったうえで、なお研 

  究者になりたいという人

 ・成果が出ない時も、それに耐えて努力する強靭な意志がある人。(p.122)

博士課程への進学を考えている学生は、学部生のうちに、指導を受けるべき教員に関して十分な情報を手に入れておこう。(p.122)

・論文を投稿する際には、どのジャーナルであれば掲載してもらえるかを、よく吟味する必要がある。レベルが高すぎるところや、編集委員の中に投稿論文と類似のテーマを研究している人が見当たらないところは避けたほうがいい...必要以上に審査が厳しいジャーナルも避けたほうがいい。(p.123)

・論文の審査には時間が掛かるが、最新の研究成果に誰よりも早く接することができるというメリットがある。(p.139)

・研究者はより新しい研究成果を知るために、学会の発表会や各種のシンポジウムに参加する…研究集会に参加するのは、自分の存在をアピールするためである…一流の研究者の顔を見て声を聞くだけでも…研究者は大きな刺激を受けるのである。(p.140-141)

・…なぜヒラノ教授は、八つものジャーナルの編集委員を引き受けたのか。一つ目の理由は、“信頼すべき仲間から頼まれたことは断らない”という工学部の教えに従ったこと。二つ目は、引き受ければ、最新情報を得られると思ったこと。そして三つ目は、知名度を上げることによって、自分の論文が拒絶される確率を減らそうと思ったことである。(p.145)

・審査にパスするための第一条件は、研究テーマの重要性に関して十分な説得力があることと、研究業績、すなわち過去五年間に書いた当該分野の論文数である。(p.161)

被引用回数が多い論文を書くためには、

一つ。多くの研究者がひしめいている“ホット”な分野で研究を行うこと。

一つ。(拒絶されることを覚悟のうえで)IFが大きなジャーナルに投稿すること。

一つ。細かな研究成果をそれぞれ一編の論文とするのではなく、いくつかをまとめた質の高い論文を書くこと。

一つ。あちこちで開催される研究集会に顔を出して、自分の成果を吹聴すること。また自分の成果を紹介(宣伝)する論文を書くこと。

などが必要である。(p.185-186)