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Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

諏訪邦夫『発表の技術――計画の立て方からパソコン利用法まで』を読んで

 

発表の技法―計画の立て方からパソコン利用法まで (ブルーバックス)

発表の技法―計画の立て方からパソコン利用法まで (ブルーバックス)

 

 プレゼンテーションをされる方の参考書です。以下に重要と思われる箇所を引用します。

・そもそも発表の目標、それも最低限の目標は何でしょうか。答えはかんたんで、自分の発見・工夫・成績の"ポイントだけ"を見てもらい、聴いてもらうことです。そのために、冒頭部分に最大の神経を使います。(p.22)

・会場では"原稿を読まないで前を向いて話す"が原則です。読まなくてもすむくらいに、身につけておきます。登壇する際に原稿を持っていくことはかまいませんが、それは興奮して頭に血がのぼって、何が何やらわからなくなった場合の安全弁、最後の拠り所です。何回も朗読して身につけていれば、読まなくてもわかります。そのくらい十分練習します。 なぜ読んではいけないのでしょうか。理由はたくさんあります。「読む」と「話す」は、元来別のことです。そうして、発表は「話す」ものなのです。「読む」は、人の考えを「読む」のがふつうですが、「話す」のは自分の意見を表明するものですね。そうして、発表は自分の発見や意見の表明ですから、当然「話す」ものなのです。 書いたものを読むつもりでいると、文章そのものを練りません。眼で読む文章としてはわかっても、耳で聴いてわかる文章への書き換えがおろそかになります。読まないで話すためには、読んで声に出すトレーニングが必要です。その段階を経ると、理解が進みます。しかも、話し言葉になっていてわかりやすいのです。(p.32-33)

・発表の現場で読まなくても、原稿は必要です。発表の現場で読むために使うのではなく、発表するときの内容を自分で言葉にしてみて納得し、さらに万一何をいうべきかわからなくなった場合の最後の拠り所として"存在する"だけなのです。本番でその原稿を読んではいけないわけです。 原稿を書く理由の一つは、時間制限を守るためです。原稿という制約をもたずに出たとこ勝負で発表すると、時間の予測がつきません…発表の際に、原稿を読んではいけない理由がもう一つあります。それは、「発表は演技である」という原則に反するからです。(p.34-35)

・原稿を読まないで話すにはトレーニングが必要ですが、そのトレーニングは二段階あります。一つは、発表の際につねに考えながら話し、読まないようにすることで、これは平時からのトレーニングです。もう一つは、当の発表のトレーニングです。原図と原稿を目の前において、はじめは読みながら、しだいに読まずに練習します…練習では原稿を使い、現場では読まないやり方で注意することが一つあります。まっすぐ原稿を読むより話すほうが時間がかかります。二〇%程度は長くなると思ってください。考えるための中断が入りますし、原稿になかったことを加えます。それ自体は優れた発表を意味するのですが、時間は超過します。したがって、逆に原稿のほうをすこし短く作っておくように注意しましょう。(p.35-36)

・発表の際の原稿の読み方、話し方の基本は、分量は制限してゆっくり話すことです…ゆっくり話すことには、いろいろのメリットがあります。第一に、言葉が明瞭になり、第二に相手に考える余裕を与えます。(p.36-37)

・ゆっくり話す要領として、言葉自体もゆっくりする以外に、文章を一つ述べたらかならず止まり、聴衆に咀嚼する時間を与えるというトレーニングも必要です。一息入れて、次のことをいうわけです…ゆっくり話す、考えながら話すにも練習が必要で、平時からつねにそのつもりで練習し、しかも発表の前にはその発表をいかにゆっくり話すかも練習しなければなりません。ゆっくりゆったり話そうとすると、話せる量は少なくなります。内容を厳選することも必要であり、また、スライドの役割が大きく重要にもなります。(p.39)

・スライドには、原則として文章は書かないこととします。単語や術語を項目的に書くだけです。文章は口でしゃべるからです。スライドと話は、たがいに「相補う」関係に作らねばなりません。「重複してはいけない」のです。聴衆は、項目をパッとみて、演者が何を話そうとしているのかを把握します。そこへ言葉の説明が加わるからよくわかります。だから文字スライドが役にたつのです。(p.59)

・講演でも発表でも、スライドを使用する目的は演者と聴衆のコミュニケーションです。内容が優れた講演も、コミュニケーションが成立してこそ意義があります。したがって、内容を厳選するほうが、見かけの"美しさ"より重要です。(p.66)

・発表の前には、かならず文章に書き、それを何回も声に出して読んで手を入れ、スライドの順序を工夫し、文章も憶えます。発表のときは読まないことが望ましいのですが、あらかじめ文章に書いて読み、手を入れて憶えてしまうまでくり返すのです。場合によっては、身振り手振りもつけてみるくらいに練習すれば、上手な発表ができます。質問を想定して、模範解答を作っておく準備も必要です。(p.78-79)

・発表の練習は、かならず声を出して本当の発表のように行なってください…声に出して読んだり話したりすれば、発表の現場の状況をかなり正確に模倣していることになります。それに、声に出してみると、書いた文章の評価が黙読よりも客観的になり、発音しにくい単語やわかりにくい表現が見つかります。そもそも、書いた文章を目で追っていくのと声に出して読むのとでは、行動としてずいぶんちがうもので、発表を上手に行なうためには声に出しての練習が必要です。(p.81)

・冒頭と結論は声をすこし張って、速度もゆっくりにして念入りに話します。それに対して途中の部分はトーンはすこし落とし、ところどころのポイントだけ大きな声で力を入れるだけにします。それによって、聴衆にもわかりやすくなります。これがつまり演技ということであり、また読まないで話すべきだという理由です。(p.91)

・会場はかならず下見しましょう。…会場の前まで行っておくと、所要時間がわかりますし、「会場まで行った」という安心感が作用して、発表当日も平静な気分でいられます。会場の中まで入って、位置や大きさを確かめられればさらに好都合です。(p.92)