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Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

白井恭弘『外国語学習の科学――第二言語習得論とは何か』を読んで

 

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)

 

 外国語学習者ならびに外国語を教えられる方の必読書です。以下に重要と思われる箇所を引用します。

・「日本人は英語ができない」とよく言われます。できない理由はひとつではないのですが、まず第一に重要な障害になっているのが、英語と日本語の間の距離です…日本語と英語は、系統的に異なっており…日本人学習者はかなりハンディキャップを負っているといいでしょう…言語間の距離と呼ばれています。(p.2)

・…第二言語習得(SLA)における母語の影響は「言語転移」と呼ばれています。つまり学習者の母語の知識が第二言語に影響するのです。これは、第二言語習得のあらゆる場面で観察することができます。発音、単語、文法、文化など、様々な形で母語の影響が現れます…言語転移が常に悪いわけではありません…間違った言語形式…「負の転移」もしくは「干渉」と言われます。ところが、英語でも日本語でも、同じような形式を使う場合だったら、そのまま訳せばいいわけです…この場合は、「正の転移」になります。(p.6-8)

母語第二言語の距離が近いほど

(1)転移がおこりやすく、

(2)転移は正の転移となり、全体として学習が容易になるが、

(3)母語第二言語が違っている部分については間違いがなくなりにくい。(p.11)

・年齢が習得の成否に非常に大きな影響をあたえる、という事実は、第二言語習得研究で定説になっています。つまり学習を始める年齢によって、学習が成功する確率が大きく変わってくるということです、よく知られているのは「臨界期仮説」という考え方で、外国語学習には、臨界期、すなわち、その時期を過ぎると学習が不可能になる期間がある、という仮説です。この臨界期は思春期のはじまり(一二、三歳)までで、その時期を過ぎるとネイティブのような言語能力を身につけるのは不可能になる、というものです…学習年齢が成否に強い影響を与える、ということについては、研究者の間で意見が一致していますが、臨界期というものが実際にあるのか、またあるとすればそれが何歳くらいなのか、ということについては、まだ合意がないということです。(p.31-32)

・…小さいうちに外国に行けば、すべての子どもがいわゆるバイリンガルになれるわけではありません。まず、その外国語を十分に使う環境にいることが前提条件です。(p.48)

・外国語学習がうまくいくかどうかには、年齢のほかにも、様々な個人差にもとづく要因があります。特に「外国語学習の適性」は重要なものと考えられています。(p.52)

・日本人が英語ができない、もうひとつの大きな理由には、動機づけの弱さがあります。つまり、日本にいれば、英語が使えなくても実際問題としては困らないのです…一方、英語が社会の中で重要な地位を占めている国では、学習の動機が非常に強くなります。(p.73)

・…ガードナーは、道具的動機づけも外国語学習の成功と結びつくが、その成功は短期的なもので、長期的には統合的動機づけのほうが重要になり、また統合的動機づけはほとんどの研究で外国語学習の成功と結びついている、ということを強調しています…いかに自分を学習動機が高まるような状況に持続的におけるかが外国語学習成功のカギだということでしょう。(p.77)

・…少なくとも、言語能力(音声・単語・文法)、談話能力、社会言語能力の三つがあって初めてふつうに会話が交わせるようになるわけです。これらを総称して、「コミュニケーション能力(communicative competence)」とよび…(p.86-87)