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Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

永井忠孝『英語の害毒』を読んで

 

英語の害毒 (新潮新書)

英語の害毒 (新潮新書)

 

現在の英語教育に一石を投じている一冊。日本の英語教育については賛否両論があると思いますが、以下に論点と思われる箇所を引用します。

 ・一つには、英語には、外国人とやりとりをする道具という側面と、植民地支配の道具という側面の、二つの面があるということ。もう一つは、日本人の多くは、そのうち一つ目には自覚的だけれど、二つ目には自覚的ではないということだ。(p.5)

・英語教育には自発的植民地化という側面がある。英語には、利便性と同時に危険性がある。(p.7)

・...英語力は曲がりなりにも数値化・客観化しやすいので、さほど重視していない要素であっても、たずねやすいし、たずねておいて損はない。一方、コミュニケーション能力や人柄は数値化・客観化しにくいので、直接的にたずねられることは少ない。(p.26-27)

・いま英語が国際語である一番の根拠は、世界の覇権を握っているのがアメリカという英語の国であるという事実だ。(p.30-31)

・…アメリカではスペイン語の勢力が急速に増している…英語の地位がスペイン語に脅かされているのだ…英語がアメリカで一番目の言語ではあり続けるにしても、唯一の有力な言語ではなくなりつつある。その上、アメリカの覇権もいつかは終わる。(p.32-33)

・…英語には、国際語としての地位を不安定にする要因がある。それは、英語話者の多くが外国語話者だということだ…英語が現時点で国際語の地位を保っているのは、英語が国際語だという“物語”を世界中が信じているからだともいえる。その物語を世界中が受け入れなくなったら、英語は国際語の地位からすべり落ちはじめることになる。(p.36-37)

・英語に対して適切な距離を取るためには、機械翻訳の性能向上によって英語学習がすでに必要なくなりつつある、そしていずれは完全に必要なくなる、という認識を持っておく必要がある。(p.48-49)

・言語を自然と身につけるためには、その言語に一日中触れ続けるということを何年も続けないといけない。たかだか週に一、二時間か三、四時間かけたところで…身につくものではない。(p.53)

・…ある言語ができると一言にいっても、いろんな段階があるということだ。会話言語能力だけがあるのと、それに加えて高度な学習言語能力も備わっているのとでは、まったく違う。(p.57)

・英語の規範は時代とともに移り変わってきた…アメリカからアジアに経済の中心が移行する三、四〇年後には、アジアの英語が世界の英語の代表になっているというのがごく自然な予測だ。(p.79)

・…英語が国際語であることで、英語国は大いに得をする。(p.94)

・…日本人は英語偏重が特に強いために、世界の中でも特にアメリカ寄りの目線で世界を見ている。(p.103)

・…アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドという、先発英語国以外は、二級の英語国にしかなれないからだ。(p.106)

・…通信手段としてメールが電話に取って代わってきていることを考えれば、読みの重要性はこれからむしろ増していくことが予想される。英語教育の会話重視への方向転換を改め、読み中心に戻すべきだろう。(p.170)

・小学生英語は停止…(p.172)

・母国話者至上主義からの脱却(p.173)

(1)アメリカの覇権の衰えとともに、英語が唯一の国際語の地位を次第に失うこと。

(2)機械翻訳の進歩によって、実用目的の外国語学習の重要性がだんだん低下すること。

…以上のことから、私は英語教育に代わり、多言語教育を提言したい…大切なのは、次の三点だ。

(1)それぞれの生徒が三つの言語を学習するということ。

(2)学習言語を三つか四つの言語の中から選択するということ。

(3)日本に固有の言語を一つ学ぶということ。(p.178-180)