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Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

山本七平『帝王学――「貞観政要」の読み方』を読んで

 

帝王学―「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)

帝王学―「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)

 

 経営者・管理職の方におすすめの一冊。以下に重要と思われる箇所を引用します。

・…何かの権限をもつと、人間はどうしても、情報遮断の状態になるか、自ら不知不識のうちにこの状態を招来して、一方向の情報しか来なくなってしまう。それが実は、滅亡、失敗、失脚の第一歩なのである。(p.54)

・広い天下にはあらゆる問題があり、それが千変万化するのだから、それに応じてこちらも変化して対応すべきなのだ…広く賢良な者に権限を委譲し委任し、自分は一段高いところで、それをじっと見守る方がよいであろう。(p.64)

・…部下は恐れて直言しないという「情報遮断」が起こるが、同時に部下同士も、なるべく論争などにならず、なるべく内部の意見の対立などないようにして、一応、表面はすべてうまくいっているように取りつくろうという状態を現出する。そうなると、現実に何が進行しているのか、だれにもわからなくなる。(p.66)

・危機の時は、だれでも、判断を誤れば直接身に危険が及ぶという気になるから、必死になって意見をいう。だが平和なときは、不知不識のうちに「これでオレの命が危うくなるわけでもないし……」が前提になっている。だが、部下が激論してはじめて問題の焦点が明らかになる…(p.69)

・「欲しいと思うものを見たら、足ることを知って自戒することを思い、大事業をしようとするときは、止まることを知って民の安楽を思い、高ころびしそうな危ないことを思うときには謙虚に自制することを思い、満ちあふれるような状態になりたいという願望が起これば…満ちあふれる海はすべての川より低いことを思い、盤遊(遊び)したいと思うときは、必ず限度をわきまえ、狩りのとき…一方に逃げ道を用意してやるのを限度とすることを思い、怠け心が起こりそうだと思えば、始めを慎重にして終わりをつつしむことを思い、自分の耳目を塞がれているのではないかと心配ならば、虚心、部下の言葉を聞くことを思い、中傷…を恐れるなら、まず自ら身を正して悪をしりぞけることを思い、恩恵を与えるときはよって賞を誤ることがないように思い、罰を加えようとするときは怒りによって重すぎる罰にならないように思う」。(p.72)

・…寛大でしまりがある…柔和で、事が処理できる…まじめで、ていねいで、つっけんどんでない…事を治める能力があり、慎み深い…おとなしく、内が強い…正直・率直で、温和…大まかだが、しっかりしている…剛健で、内も充実…強勇で、義しい…(p.74)

・人間は皆、他人の欠点や非違行為はすぐ気がつくが、自分のことはわからない。(p.77)

・(一)きざしがまだ動かず、兆候もまた明確ではないのに、そこに明らかに存亡の危機を見て、それを未然に封じて、主人を、超然として尊栄の地位に立たせる…(二)とらわれぬ、わだかまりなき心で、善い行いの道に精通し、主人に礼と義を勉めさせ、すぐれた計りごとを進言し、主人の美点をのばし、欠点を正しく救う…(三)朝は早く起き、夜は遅く寝て勤めに精励し、賢者の登用を進めることを怠らず、昔の立派な行いを説いて主人をはげます…(四)事の成功・失敗を正確に予知し、早く危険を防いで救い、くいちがいを調整してその原因を除き、禍を転じて福として主人に心配させないようにする…(五)節度を守り、法を尊重し、高給は辞退し、賜物は人に譲り、生活は節倹を旨とする…(六)国家が混乱したとき、諂わずにあえて峻厳な主人の顔をおかし、面前でその過失を述べて諫める…(p.97-98)

・いわばその人間が、彼が生活している共同体の中でどのような評価を受けているかを採用の基準の一つとした…(p.111)

・人間には、必ず虚栄心がある。そして、虚栄心の充足だけは限度がない。(p.113)

・帝王ともなれば、はっきりした姿勢で自ら限度を保たないと、「虚需」の充足は無限に膨張する…たちまち部下も地方官もそれを模倣する。(p.116)

・…権力・権限はまことに魔物であり、心にちょっと隙があれば、遠慮なくそこにつけ込んでくる。(p.139)