Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

潮木守一『大学再生への具体像――大学とは何か〔第二版〕』を読んで

 

大学再生への具体像―大学とは何か

大学再生への具体像―大学とは何か

 

 大学関係者におすすめの一冊。以下心に響いた箇所を引用します。

・科学とか学問では、論証、実証のすべてが公開される必要があり、これがなければ、外部社会からの信頼は得られないし、説得性は保証されない…まずは研究者自身が使用したデータ、計算モデル、計算過程を公表すべきである…現在はデジタル時代であり、ウェッブ時代である…研究者はこの時代の変化を大いに活用すべきである…とくに博士課程を持ち、将来大学教員となる者を養成している博士課程担当教員は、まずもって自分自身でウェッブサイトの作成方法をマスターし、それを院生に教えるべきである。その新たな活用方法を開発すべきである。(p.58-59)
・…これまでも我々研究者の行った推計結果に対しては、さまざまな疑問、疑義、疑惑が呈されてきた。それらに答えるには、すべてのデータと、その計算過程を公表するしかない。第三者にそれを検証してもらうほかない…研究成果の質保証は、研究者集団に課せられた社会的責任である。…一般社会が我々専門研究者に求めるのは、それぞれの専門分野で起こる社会現象に対して、継続的な定点観測を続け、もし危険な兆候がみられた時は、いち早く警告を発することである…第三者にきちんと証拠を示した上での警告である必要がある。(p.60-61)
・我々にとって専門研究の成果を発表できる場は、学会誌あるいは各大学が刊行する紀要類に限られている。ところがこれらには、必ず枚数制限があって、規定以上の情報を盛り込むことができない。しかし、研究によっては、使用したデータ、統計、図表類などは大量の情報を載せる必要があることがある。しかし枚数制限がある以上、それらを大幅に割愛することになる…ウェブサイトを使う限り、そうした物理的な制約は一切気にする必要がない。…オンライン・ジャーナルには、文字、数字だけでなく、音声も静止画も動画も載せることができる…問題はこうした個人用ウェブサイトからの研究成果発表に対して、世間はどういう反応を示すのかという点である。(p.62-63)
・博士課程卒業生の職業的柔軟性を高める一番手っ取り早い方法は、その学問分野で次々に登場する理論的、技術的イノベイションに学生を晒すことである…もっともよい方法は、博士課程院生を、自分の手元に囲っておくのではなく、国の内外を問わず、巡礼させることである…一番重要なことは、同じ専門分野で次々に起こる新しい展開に敏感に反応する人間を育成することである。(p.277)
・文科系の研究で欠けている点は、専門家集団による研究結果の質的管理である。(p.277)
・もうすでに、ドアの前まで外国籍大学が進出してきている…そういう時代を生き残る算段を今から考えておくべきである。(p.282)