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Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

戸田山和久『新版 論文の教室――レポートから卒論まで』を読んで

 

新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)

新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)

 

 論文を書く際の必読書。以下に重要と思われる箇所を引用します。

・【剽窃とは何か】
(1) 丸写し:友だちの書いた論文をすべて、あるいは一部写して、自分の書いたものとして提出する。あるいはネット上のサイトに公開されている文章を、すべてあるいは一部コピーして自分の書いたものとして提出する。
(2) 自己剽窃:自分の書いたものであっても、複数の授業に同じ論文を提出すると剽窃の一種と見なされる。
(3) 無断借用:最も重要な論点やアイディアを、参考文献あるいは引用文献として言及せずに他の論文から借用する。(p.34)
・アカデミックな世界には、「人がそれなりの努力を傾注して調べたり考えたりして到達した真理・知識は、基本的には人類すべてのものとして共有されるべきである。しかし、その代わりに、それを生みだした人にはそれ相当の尊敬が払われなければならない」という基本的なルールがある。剽窃はこのルールに違反している。論文の剽窃がきびしく咎められるということは、学生もこのアカデミックな世界の一員と考えられている、ということだ。(p.35)
・論文にはつぎの三つの柱がある。
(1) 与えられた問い、あるいは自分が立てた問いに対して、
(2) 一つの明確な答えを主張し、
(3) その主張を論理的に裏づけるための事実的、理論的な根拠を提示して主張を論証する。(p.42)
・論文の評価のほとんどは、論証が正しくなされているかによって決まる。つまり、主張(悦論)を支えるだけの論拠がきちんと与えられているかが重要だ。(p.44)
・私の考えでは、論文で認められない主観的記述とは、「私」を主語にした文のことではない…論拠が示されていない判断・主張のことである…論文は自分の考えを書くものだ。ただし、自分の考えを普遍化されたものとして書く。つまり、これこれの証拠をふまえて、こんなふうに理詰めで考えていったら、キミも、あなたも、みんな私と同じ考えに至るはずだ、という「普遍化された私の考え」を提示するのが論文だ。(p.45-46)
・…論文は第三者によってチェック可能である必要がある…自分がどのような素材(調査、統計、テキスト、先行論文)を使ったのかを明示し、それがどこで手に入るのか、そのどこを使ったのか、第三者が必要とあればいつでもチェックできるように、こうしたことを論文の中にきちんと示しておかなくてはならない。論文に、引用の仕方や参考文献の挙げ方など、うるさいしきたりがあるのはこのためだ…(p.47)
・【ネット上の情報を利用する際の注意】
(i) 日本語版と英語版など複数のソースを照らしあわせ、裏をとる。
(ii) 一次的なソース(公的機関・研究機関のサイト、書籍・論文)に近ければ近いほど信頼性がある。
(iii) 出典が示されているサイトのほうが信頼性がある。(p.63)
・型を身につけるにはまず真似するのが一番。(p.81)
・【アブストラクトに書くべきこと】
★論文の目的(どのような問いに取り組んだのか/何を明らかにしようとしたのか)
★論文の結論(問いに対してどのような答えを出したのか/調査の結果何がわかったか)
★論文の本体でどのように論が展開されるか
●文学作品、芸術作品などについて論じた場合は、扱った素材が何であるか
●何かを調査した場合は調査方法と調査対象(p.84-85)
アブストラクトを書くことには二つの利点がある。まず…この論文では何が問題となっていて、何を素材に使って、おおよそどんな結論が目指されているのかということが最初にわかると、抜群に読みやすさが違う…自分がこの論文で何を書こうとしているのかは、えてして書いている本人も忘れがちだ。アブストラクトがあれば、つねにそれを念頭に置いておくことができる。また、アブストラクトの形で要約できるということは、その論文に、ちゃんと問題提起と解決、そして論証があるということだ…自分が書いたものがきちんと論文になっているかどうか、アブストラクトを書くことによってチェックできる。(p.86-87)
・読んで報告する報告型の課題に取り組むとき、
(1) 筆者はどういう問題を立てているか
(2) 筆者はそれにどう答えているか
(3) 筆者は自分の答えのためにどのような論証をしているか
の三点だけをおさえて報告すればよい。(p.89)

・論証…

★問いに対する自分の答えを論拠を挙げて論証する。

●論拠に何らかの調査結果を用いたなら、その調査の方法、調査の結果として得られたデータ、データの分析方法、分析結果の解釈などを説明する。

●論拠に他の人の研究結果や論文を使ったなら、引用、その人の見解の要約、その人の見解の妥当性の検討、さらにその検討のための論拠などを示す。

●他の人の研究結果や論文を批判することで自分の見解の正しさを主張したいなら、引用、その人の見解の要約、その見解の批判、さらにそのための論拠などを示す。

●自分の見解と他の人の見解との比較をする。

●これまでの研究の流れの中に自分の主張を位置づける。(p.94)

・アウトラインが太ったものが論文だ。アウトラインからできあがった論文は構成のしっかりしたものになる。論文を書くときにはまずアウトラインを作ろう。(p.106)

・自分の論証をより説得力のあるものにできるかどうかは、自分で自分にどれだけツッコミを入れることができるかどうかにかかっている。(p.184)
・トピック・センテンスはパラグラフの先頭に置くのがパラグラフ・ライティングの基本である。(p.193)

① 簡単なアウトラインをまず作る(箇条書きで、キーワードを並べただけのものでいい)。(項目アウトライン)
② 項目アウトラインには、問いと主張があるはず。もっと主張に説得力をもたせるには、さらに何を調べて盛り込んだらいいか、 どんな論証や例を挙げたらいいかを考え、アウトラインを膨らませていく。
③ アウトラインの各項目を、短い文の形で表してみる。(文アウトライン)
④ その短い文をトピック・センテンスとして、そのトピック・センテンスを補強したり説明したりする材料を付け加えていって、 パラグラフの形にしてみる。(パラグラフ・アウトライン)
⑤ ここまでくると、なんだか論文らしきものになっている。そうすると余裕が出てくる。このセンセイのように、もうちょっと 主張に説得力をもたせたいから、この論証も入れようとか、この具体例も使おうと欲が出てくる。それらを盛り込んで、 パラグラフを充実させていく。
⑥ そうすると、長くなりすぎるパラグラフが出てくる。そこで、先に見たようにいくつかのパラグラフに分け、そのパラグラフ の相互関係をきちんと明示するようなつなぎの言葉やサブ・センテンス、「第一に」「第二に」とか、「以下では、……を指摘しよう」 などをパラグラフに付け加えていく。
⑦ これをやると、また補強しなければならないこと、調べが足りないところが見えてくる。それを調べたり、考えたりして補っていく(「書く燃料サイクル」ね)。
⑧ そうすると、あら不思議、いつの間にか論文ができています。(p.201-202)