Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

岡本真『これからホームページをつくる研究者のために――ウェブから学術情報を発信する実践ガイド』を読んで

 

 研究者の方におすすめの一冊。以下に重要と思われる箇所を引用します。

・他人にとっての便利さを意識する前に、まず自分にとって便利なものをつくるところから始めよう。つまり、個人ホームページをつくるうえでの軸を、他人にではなく、自分に置くということだ…その世界では、自分の役に立つ個人ホームページをつくるということは、自分の研究メモや研究ノートをつくることであり、自分の書棚や書斎をつくることである。大きくいえば、自分の研究室をつくることである…まずは自分が使いやすいように、自分が覚えやすいように、自分が居心地いいように、つまりは自分の役に立つように、自分のために個人ホームページをつくればよいのである…その結果として、他人の役に立つものをつくったことになればよい。あるいは、自分の役に立つものをつくりつつ、他人の役に立つものをつくることを心がけてもよい。だが、究極的には、だれのためと問われれば、ほかならない自分のための個人ページであると考えよう…このような自分軸があらゆる判断と行動の出発点となるのである。(p.8)

・研究者は公開できる素材を自分が思う以上に持っている。たとえば、講義に用いるシラバスやレジュメ、講義ノート、研究過程で生み出す目録や年表、翻訳、調査に用いた調査票や記録写真、統計資料、そして研究成果として形になった論文や書籍など…公開できるものを素直に探し出そう。まずは自分に役に立つ範囲から、公開に取り組もう。どんな形であれ、それが一度自分の名前で公にした研究成果である限り、公開に値し、またどこかで公開が持ち望まれている可能性があるのだから。(p.9-10)

・…個人ホームページをつくれば、だれでも研究者の個人ホームページに気軽にアクセスしてくれるようになる。裏を返せば、だれがアクセスしてこようと、とどめようもなくなる。研究者の立場からすれば、自分の存在と公開する研究の過程と成果を広く知らしめる可能性と、見ず知らずの第三者に常に自分の存在と公開する研究の過程と成果をさらけだす可能性という二つの可能性を持つことになる。(p.20-21)

・…科目名が同じでも、講義の内容は毎年少しずつ変化しているだろう。…そう考えると、シラバスは比較して参照できるように、数年分をまとめて公開することが望ましい。これは、毎年同じ講義をくり返しているというあらぬ誤解と批判を避けるという観点からも、意味があるだろう…レジュメや参考図書リスト、自分が用いた講義ノート…など、その講義に関わりがあるさまざまな資料を、シラバスを基点にひとまとめにして公開するのである。(p.43-44)

・…同じ科目であっても、講義内容は毎年少しずつ、あるいは大幅に変わるものだろう。数年分の講義ノートがまとまって公開されていれば、講義内容の変化がうかがえる。研究の進展に基づいた講義内容の広がりや深まりが、自分自身だけではなく、学生にも伝わることになる。(p.56)

・講義のなかで学生の質問に答えることがある。あるいは、学生が質問を記入する質問票を配布することがある。その質疑応答の記録を個人ホームページで公開してもよいだろう。講義という場から生まれる質疑の記録は、きわめて独自性が高く、独創性にあふれる素材の一つである。(p.58)

・教育や研究、調査の過程でまとめた文献目録を個人ホームページで公開しよう…完成がありえず、常に改訂する余地がある文献目録は、個人ホームページでの公開に向いている素材の一つである。(p.68)

・教育や研究の過程で、あるいは教育や研究の成果としてまとめた年表・年譜があるだろう。その年表・年譜を個人ホームページで公開しよう。日々変化する時間の流れを対象とする年表・年譜には、絶えざる更新が求められる。個人ホームページでの公開は、年表・年譜が持つその性格を満たすものとなるだろう。(p.72)

・出版物に誤字や脱字、図表の誤りはつきものである。刊行後の増刷にあわせた訂正がままならなければ、正誤表をまとめることが唯一の対策である。だが、正誤表にも終わりがない。そして、記述を大幅に見直したり、新たな記述を加えたりしたいこともある。情報の訂正や補足、追加を個人ホームページで行おう。(p.76)

・更新の容易さという個人ホームページの利点を生かした正誤表やサポートページの公開だが、最終的な到達点は、書籍で取り上げたテーマを総合的に扱う内容にまで成長していくことだろう。紙媒体で発表された書籍や論文を個人ホームページが補うという一方的な関係から、書籍や論文と個人ホームページが相互に補足し合い、相互に参照し合う、そのような双方向的な関係を築きたい。(p.78)

・概念を整理・定義するために、特定のテーマに関する用語集や辞書をまとめていることがあるだろう。その用語集や辞書を個人ホームページで公開しよう。用語集や辞書といっても、概念を明確に定義したものである必要はない。専門的な見地から抜き出した言葉や概念のリストがあれば、それを公開すればよい。(p.88)

・…インターネットで公開する調査記録の理想像をまとめると、
1.いつ、どこで、だれが、なにをしたのか、が明記されている
2.調査を行っている際のリアルタイム感がある日誌的な記述がある
3.自身の記憶と第三者の理解を助ける、現地で撮影した写真を掲載している
4.聞き取り調査の内容が記録されている
5.統計的・数値的な調査データがまとめられている
6.事前準備や現地での失敗経験がノウハウとしてまとめられている
7.調査による成果や今後の調査の展望が記されている(p.97)

・コンピューターとインターネットの普及に伴い、統計資料の作成や入手が、従来とは比較にならないほど容易になっている…教育・調査・研究の過程で入手・作成・加工した統計資料を個人ホームページで公開しよう。(p.114)

・個人的な体験を語ったエッセイや専門的な研究をかみくだいたコラム、新聞や雑誌の求めに応じてまとめる論説は、どれも自分の思考の貴重な記録だ。…エッセイやコラム、論説などの公開にあたっては、
1.掲載記事と相違する可能性を明記しつつ、手許にある原稿の公開
2.掲載媒体との合意や許諾に配慮した記事掲載ページの複製・公開
3.掲載媒体が記事のインターネット公開を行っていれば、そこへのリンク
といった方法がある。(p.120-123)

・学術誌をはじめ、一般紙や新聞に書評や論文評が掲載される。こうした批評は、学術研究を進展させるうえで重要な役割を果たしている。だが、せっかくの書評や論文評も、より多くの読者に届かなくては、意味がない。個人ホームページでの批評の公開に取り組んでみよう。(p.124)

・一般の市民に向けた公開講座や学会の大会といった場で、講演や発表を行うことがある。その際には、講演の元となるスピーチ原稿や報告の前提となる予稿をまとめているだろう。こうした講演や発表で用いた原稿も、個人ホームページで公開できる素材の一つだ…公開にあたっては、講演や発表で実際に自分が話した内容と、公開しようとしている原稿の内容の違いが気になるかもしれない…誤解を避けるため、公開にあたっては、一言、あくまで事前に準備した原稿であり、実際の講演や発表とは一部異なる可能性があることを記しておこう。(p.128)

・科学研究費補助金をはじめ、各種の研究助成を受けると、研究成果を報告書として提出する義務が課されることがある…こうした報告書は基本的に無償で提供されるため、個人ホームページで公開しやすい素材の一つである。(p.132)

・研究紀要に掲載された論文、専門誌に掲載された論文、学会誌に掲載された論文、学位取得のための学位論文と、論文にもさまざまな種類がある…研究の成果であるこれらの論文を個人ホームページで公開してみよう。(p.136)

・日々、自分の身の回りに起きたことや、それに対して自分が思ったことをつづる日記という表現手段がある。あるいは、日記よりよそ行きの表現手段としてエッセイやコラムがある…日記、エッセイ、コラムを個人ホームページで公開してみよう。(p.146)

・政治、経済、科学、国際情勢、スポーツ、芸能など、世の中の出来事に対して、研究者の立場から発言できること、そして発言したいことはないだろうか。これまで眠らせていた動機と能力を生かし、研究者としての発言を個人ホームページで公開しよう。(p.154)

メールマガジンは、発行者から複数の読者に対して、メールで情報提供を行うものだ。訪問者という言葉が端的に示すように、個人ホームページの場合は、利用者が訪れない限り、情報提供は始まらない。逆に、読者に届けられるメールマガジンは、個人ホームページをつくる側から利用者の訪問をうながす効果がある。(p.188)

・個人ホームページに新たな情報を追加したら、その日付と内容を明記しよう。「新着情報」、「更新情報」、「What's New」など、名称は何でもよい。自分の個人ホームページに新たにどのような情報が加わったのか、そして新規追加を行ったのはいつなのか。いつ、なに、を明記し、前に訪れた際といまとでは、なにがどのように変更されているのか、訪問者にわかりやすく伝えるようにしたい。(p.212)