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Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

堤未果『沈みゆく大国アメリカ――<逃げ切れ!日本の医療>』を読んで

 

 医療・介護問題に関心をお持ちの方におすすめの一冊。以下に心に響いた箇所を引用します。

・…投資家所有型の大型チェーン老人ホームの最大の特徴は、介護スタッフの数がぎりぎりかそれ以下に抑えられていることです。しかも時給は平均五・五ドル…で最低賃金以下で膨大な業務量をあてがわれている。一晩で五〇人の高齢者をたった一人の介護スタッフがみるなど日常茶飯事ですよ…行政もこの業界には甘いのです…儲けた金で、地域の政治家を買収する…投資家所有の場合、所有形態が複雑で、遺族が訴えても組織全体に勝訴することが非常に難しい。(p.22-23)
・大型チェーン老人ホーム投資をロケット級に成長させる三つのポイントは、スタッフ削減、給与削減、それと入居者の回転率を速めること。(p.26)
・公的医療については、一九八〇年代から日米間で段階的に切り崩されてきているし、ガン保険なんかはアメリカ系保険会社がしっかり押さえました…混合診療や医療と介護を合わせた施設の大型チェーン化は、近いうちに特区で大きく解禁されるし、そこに二〇一四年に上場した<ヘルスケアリート>…が入ってゆく…高齢者の生活は今やれっきとした<優良投資商品>です。(p.28-29)
・どんなに素晴らしいものを持っていても、その価値に気づかなければ隙を作ることになる。そしてそれを狙っている連中がいたら、簡単にかすめとられてしまう。(p.33)
・日本の医療制度が世界から嫉妬される最大の理由…「高額療養費制度」…私たちがけがや病気で病院にかかっても、自分で毎月負担する医療費の上限が決まっていて、その差額をあとから保険者が払い戻してくれるという制度…(p.36)
・…世論とは、事実よりマスコミの意向によってつくられるもの。(p.49)
・「保険」という名がついていても、日本の国民皆保険の本質はアメリカのような民間保険とは違い、れっきとした「社会保障」だ。(p.49)
・<法案の都合の悪い部分は国民に伏せる><法案を成立させるには、有権者の愚かさが不可欠>そして、一番肝心な部分を取り除いた形で、法案の素晴らしい部分ばかりを繰り返し宣伝する、政府と利害関係のある御用学者と大手マスコミ。(p.99)
・そこで法案設計チームはどうしたか。とにかくやたらにページ数を増やしたのだ…誰も読み切れないですよ。(p.110-111)
・世界一高いアメリカの医療費を毎年ぐんぐん押しあげている最大の原因は、何と言っても「薬代」…アメリカは日本と違い政府が薬価交渉権をもっていないため、製薬会社は自社の薬に好きな値段をつけ放題…(p.112)
・…ウォール街や巨大利権産業といった一パーセント側は、共和党と民主党両方に賭けることで、リスクを最小にできるのだ。(p.113)
・議会や国民が反発しそうな法案ほど、難解な用語をちりばめて、ページ数を極力多くする。(p.115)
・私たちから集めたお金を国が何に使うかに無関心な国民ほど、政府にとって都合がいい。特に、一〇億円以上政府広告費が増やされる一方で、社会保障費は削減され、医療や介護の自己負担が次々にあげられている…(p.126)
・マスコミは毎年一兆円ずつ医療費があがると大騒ぎするが、実は高齢社会の自然増としては一兆円は諸外国と変わらない…日本は、医療費が実は諸外国と比べてもかなり低く、さらに患者の自己負担率はとても高い国だということを。(p.167-168)
・政府が国庫負担をどんどん減らしている…(p.168)
・諸外国で財政赤字を算出する時は、国の資産から借金分をマイナスする。だが、日本の財務省は資産の部分を無視して借金の数字だけ国民にみせて<財政赤字一〇〇〇兆円>と騒いでいる。これを諸外国と同じ方法で計算すると、借金は二五六兆円になる…示される数字をよくチェックすることから始めるべきだろう。(p.169)
・まずは統計のトリックにだまされず正確なデータを得ることが、私たちが今後自分と家族が頼れる医療を守る、大きな一歩になる。(p.176)