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Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

シールズ,キャロル『ジェイン・オースティンの生涯――小説家の視座から』を読んで

 

ジェイン・オースティンの生涯―小説家の視座から―

ジェイン・オースティンの生涯―小説家の視座から―

 

 ジェイン・オースティンに関心をお持ちの方におすすめの一冊。以下に心に響いた箇所を引用します。

ジェイン・オースティンは、作品を書くにあたって、「母親」というよりは「娘」に焦点を当てることを選んだ…とはいえ、「母親」は、彼女の小説の中で本質的要素となっている。「母親」は、行動を前面に押し出すエンジンなのである。(p.26)
ジェイン・オースティンの生涯を考える時、さらに重要なことは、家族全員が小説を読んだということである。(p.37)
・オースティンの小説における結婚とは、美しい言葉や感銘を与えてくれる、お決まりの身ぶり手ぶりによって成立するものではなく、まさに若い女性がなし得る唯一の誓いによってこそ成立するものなのだ。(p.40)
・…彼女の小説は、最高の作品ですら、笑劇と感情重視の表現の間で方向が定められず揺れ動いている…彼女は聴衆をおもしろがらせたいと思いながら、かつ感動させたいのであり、同時に、人がシンデレラファンタジーと呼んでいる話をどうしても描きたいと考えたからだ。(p.50-51)
・ジェインは幸運でもあったし、不幸でもあった。幸運というのは、幅広い趣味を持った信用できる人たちに聞いてもらえたからである…さらに重要なことは、彼らが共感を寄せていたことであって、単に執筆を励ますだけではない読者の視点を持ち合わせていたということである…執筆とは結局のところ孤独な行為だが、ジェイン・オースティンの小説は周囲の人びとと協調しながら執筆され、書き直されたという点で注目に値する…ジェインの不幸とは、一生涯、無名であり続けたことだ。(p.170-172)
ジェイン・オースティンは…劇的効果を好む作家であり、道徳に関心を持ち、手段として発話を用いる。(p.216)
・彼女の遺産とは、過去の一時代の社会からの一片のルポタージュなどではなく、賢明な、やむにやまれぬ、人間性の探求の書である。登場人物は男も女も、自らの窮地を語り、平和と満足を阻む障害を明らかにする。(p.219)