Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

小川さやか『「その日暮らし」の人類学――もう一つの資本主義経済』を読んで

 

「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)

「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)

 

 文化人類学に関心をお持ちの方におすすめの一冊。以下に重要と思われる箇所を一部引用します。

・…わたしたちは身近な怠け者に憤りを感じつつも、怠け者に憧れているという単純な事実だ。(p.17

・本書では、「Living for Today」―-その日その日のために生きる――をめぐる価値や実践、人間関係、その連続として立ち現れる社会や経済のありようを明らかにすることを通じて、わたしたちの社会で支配的である未来優位、技術や知識の蓄積にもとづく生産主義的・発展主義的な人間観に問いを投げかけることを目指している…本書のもう一つの狙いは、Living for Todayを前提として組み立てられた経済が、必ずしも現行の資本主義経済とは相いれないものではないことを示すことにある。(p.24-25

・…未来や過去を前提とした生産主義的な生き方は普遍的なものではなく、またそのような活き方は当事者たちにとって必ずしも「不幸」で「貧しい」ものではない…(p.40

・…不確実性の高い生活環境での「前へ前へ」という生き方のスタイルは、不確実性の高い市場では、「試しにやってみて稼げないとわかったら転職する」というスタイルになっている…「いつ転戦するかわからない」という短期決戦の姿勢は、共同経営や組織化のインセンティブと矛盾し、不確実性の高い混沌とした市場を再生産することになる。(p.84

・ここでサバイブするために必要なのは、「わたしだからこそ/わたしだけは」の信念と、対面する人びととのあいだで騙しや背信を織り込んだ「了解」「信頼」をいかに築くかにかかっている。(p.101

・ここで重要な点は、こうした顧客ネットワークが個別の仲介業者のパーソナルネットワークとして拡大していくことだ…基本的に仲介業者は「一人で仕事をする」傾向にあり、その他の仲介業者とのあいだでパートナーシップや連帯、組織を形成しないということである。(p.117