Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

山田謙次『社会保障クライシス――2025年問題の衝撃』を読んで

 

社会保障クライシス

社会保障クライシス

 

 社会保障に関心をお持ちの方におすすめの一冊。以下に心に響いた箇所を一部引用します。

・この医療と介護の社会的費用がピークを迎える年…2200万人が後期高齢者になる2025年なのです。(p.24

2025年問題は、往復ビンタで社会保障制度を揺さぶります。ひとつ目のビンタが、負担になる側の後期高齢者の増加です。そしてもうひとつのビンタが、支える側の脆弱性です。(p.26

社会保障の増分は、増税社会保険料の増額などで埋めるしか方法はないわけですが、その支え手となるはずの4050代の中高年層は、就職氷河期世代で、むしろ貧困層を抱えた世代です。この層は、逆に生活保護費の増大の形で社会保障費を増価させる可能性すらあります。(p.31

・…社会保障を充実させるためには、自分たちが使えるお金を減らして、政府にお金を集める必要がある…(p.39

・…日本の社会保障制度…

    社会保障制度としてはすべての項目が揃っているが、経済成長時に給付が拡充された老人医療など、高齢者への給付の比率が高い。

    家族を基盤とする思想で設計されていたため、子育てや介護についても、個人を支援する考え方が不徹底。

    給付と負担が同時に制度設計されず、オイルショックバブル崩壊という経済危機により負担が抑えられたまま、給付が拡大されている。

    欧州で起こった社会保障の見直しと第三の道の議論が行われず、福祉から就労への考え方が根付いていない。そのため、貧困の防止が給付中心であり、就労の拡大による経済安定化と社会保障のバランスが取られていない。(p.59-60

・…かつては所得税法人税を中心とする直接税を増税することにより、社会保障の資金を調達することができました…高い税率をかけると資本や資産が海外に逃避するため、むしろ直接税の税率を低くする…間接税である消費税…を引き上げざるを得なくなりました…低所得者ほど負担率が大きくなる…逆進性があり…所得の再分配を妨げる要因…(p.68

・…社会保障危機を乗り越え、安心できる社会を維持するためには、国民負担率60%の社会を容認する必要がある…(p.165

・…マイナンバーを駆使すれば、国民の所得の捕捉を高めることができる…(p.166