Mike's Blog

これまで読んできた本を引用を含めて紹介します。 Introducing books I have read including citation http://www.arsvi.com/w/km18.htm

水野和夫『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』を読んで

 

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書)

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書)

 

 今後の経済を考える上で、学びの多い一冊。以下に心に響いた箇所を引用します。

・利潤獲得が難しいがゆえに、資本の側が、わずかでも利潤が得られるのであればとあらゆる国境の壁を越え、なりふりかまわぬ「蒐集」をおこなうようになってきた…これこそがグローバリゼーションの正体…(p.4

・利潤をもたらしてくれるフロンティアを求めるために地球の隅々にまでグローバリゼーションを加速させていくと、地球が有限である以上、いつかは臨界点に到達し、膨張は収縮に反転する…(p.5

・「資本主義の終焉」という「歴史の危機」を乗り越えるために、必要なのはどんなシステムなのか…「閉じた帝国」が複数並び立つという世界システム…(p.16

・なにゆえ利子率の歴史が重要かといえば、長期金利は資本利潤率の近似値であるから…(p.17

・…二一世紀の超低金利…は、「実物投資空間」からは、もはや資本を蒐集することができなくなったことを示しています。(p.19

・グローバル経済が可能なのは、世界秩序が安定していることが大前提…(p.25

・…向かい合うべき真の問いは、「もはや、国民国家を維持することはできない。では、どうするのか」ということ…(p.29

・問題は社会が「深い割れ目」に落ちてしまったとき、どうするか…(p.41

・生産力が過剰になれば、もはや需要を新たに生むことはなく、不良債権が生まれるだけ…(p.41          

・…利潤を追求する企業が社会の秩序を乱している…(p.44

・…なぜ日本が成長できないかといえば、「実物投資空間」が閉じたことで生産数量が伸びなくなったうえに、新興国の台頭による交易条件の悪化を受けているから…(p.52

イノベーションを成長戦略の柱に据えても一向に成功しないのは、「技術」が政治によって「より遠く、よく速く、より合理的に」に貢献するよう求められているから…(p.64

・ゼロ金利は、一三世紀に始まった資本の自己増殖の停止を意味します。(p.92

・…消費者のニーズとかけ離れたところで「合理性」が追求され、会社を危機に陥れている…(p.96

・利潤を得ようと投資すればするほど、将来、大きな負債を抱え込んでしまう…成長が収縮を生むようになった…(p.96

・…日本が「より近く、よりゆっくり、より寛容に」に向かってスタートを切ること…これが二一世紀の日本のポスト近代戦略の土台とすべき原理…(p.115

・「資本帝国」の収奪を防ぐためには、経済圏を「閉じる」方向に舵を切る必要がある…(p.141

・…ポスト近代システムは、一定の経済圏で自給体制をつくり、その外に富(資本)や財が出ていかないようにすることが必要…その条件を満たすためには、「閉じてゆく」ことが不可欠…そして、十分に「閉じる」ためには、経済的には定常状態であることが要請されます。(p.207

・…大企業ですら、もはや不正をしないと株主が期待するレベルの利益を得られなくなっている…その不正が白日のもとにさらされると、利益以上の利益を被ることになる…(p.210

・政府のなすべきことは、基礎的財政収支…を均衡させ、税負担を高めないようにすることに加え、人口減少を九〇〇〇万人あたりで横ばいにすること…安いエネルギーを国内で生産し、原油価格の影響を受けない経済構造にしていく…(p.211

・定常状態へ移行するには、少なくとも三つのハードルをクリアしなければなりません。第一に…財政を均衡させる…第二のハードルは、エネルギー問題…第三のハードルは、「地方政府」を視野に入れた地方分権…(p.238-240